2013年3月6日水曜日

食べることも愛することも、耕すことから始まる

食べることも愛することも、耕すことから始まる
脱ニューヨーカーのとんでもなく汚くて、ありえないほど美味しい生活
クリスティン・キンボール著 小梨直・訳
河出書房新社



図書館の農業コーナーで見つけたこの本、あまり期待せずに借りたのですが、意外に面白かったので感想を書いておきます。

ハーバードを卒業してニューヨークでライターとして働いていた著者が、若き有機農業者マークと出会い結婚、新しく二人の農場を始める最初の過酷な1年を描いた本です。
都会暮らしの女性が、夫や恋人につきあって農業の世界に入っていくというパターンは最近ではそうめずらしくもなくなっていると思いますが、さすがもとライターだけあって、深い洞察と表現力で思わず引き込まれました。
(途中の具体的な出来事については、ちょっと飛ばすところもありましたが・・・)

クリスティンとマークが経営するエセックス・ファームは500エーカー(約2km平米)の土地を農耕馬を使って耕し(現在ではトラクターも導入されているようす)、現在200人を超える会員にCSA(Community Supported Agriculture)という方式で食糧を提供しています。
生産している品目は穀類から豆、40種類以上の野菜、ハーブ、果物、牛肉・豚肉・トリ肉、卵、乳製品、メープルシロップなど、ふつうの食生活がほぼカバーできるようになっていて、会員は年間2900ドルを払えば、週1回農場に来て、食べたいものを食べたいだけ持って帰ることができるのだそうです。

CSAの発祥は日本だそうで、根づいてないのが残念ですが、すごくいいシステムだと思うので、私もいずれ本格的に農業をやるようになったら、導入することを考えようかと思いました。
もちろん、こんなに大規模にはできないですが、私でも、穀物、野菜、卵、山羊チーズ、蜂蜜あたりまではやれるのではないかと思います。会員は10~20人ぐらいで・・・(と、夢ふくらみました)

農産物はキッチリ計画しただけ同じ品質のものを作れないことも多いし、生ものだから在庫しておくこともできない。だから、出来上がったものを1個いくらで売る、というやり方では生計をたてるのは難しいのではないかと感じていました。何か、こういう生産者の活動を支えて行くシステムが必要だと思います。

それにしても、この本の中で著者はものすごく働いています。
行動的、そして迷いながらも新しいものを受け入れていく力には感心しました。
つい考えすぎて妄想にばかり浸りがちな私は、ちょっと喝を入れられた気分です。
そして、マークが魅力的。(頑固そうですが)。
農場の成功は、二人の人柄によるところが大きいのではないかと思いました。

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